結婚指輪はなぜ円いの?“輪”に込められた意味と歴史
この記事を監修したひと
ついぶ東京工房・店長
- ▶ ついぶ東京工房現店長
- ▶ 貴金属装身具制作技能士1級
- ▶ ジュエリーの専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ卒
東京工房工房現店長でついぶ彫金教室のインストラクターもさせていただいております。
学生時代も合わせて15年以上ジュエリー制作に携わっています。
話し方のせいなのかテンション低めだと良く思われますが、
実はおしゃべりで、制作中のお客様との他愛のない会話が好きです。
1. プロローグ:途切れない“輪”が象徴するもの
- ▶ ついぶ東京工房現店長
- ▶ 貴金属装身具制作技能士1級
- ▶ ジュエリーの専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ卒
東京工房工房現店長でついぶ彫金教室のインストラクターもさせていただいております。
学生時代も合わせて15年以上ジュエリー制作に携わっています。
話し方のせいなのかテンション低めだと良く思われますが、
実はおしゃべりで、制作中のお客様との他愛のない会話が好きです。
ふたりが指輪を選ぶその瞬間――不思議と頭をよぎる問いがあります。
「なぜ結婚指輪は“円い”の?」──そのシンプルな形が、ただのデザイン以上の意味を帯びていることに、気づいたことはありますか。
円(まる)は、始まりも終わりもなく、ひと続きの線でできています。この形が指輪に用いられたのは決して偶然ではありません。古代から受け継がれる儀式や文化では、円は“永遠”や“つながり”の象徴とされてきました。例えば、古代エジプトでは輪を「終わりなき愛のしるし」として用いた記録があります。
また、結婚という人生の新たなステージを迎える際に、ふたりが交わす“約束”を形にするためには、やはり「終わりのないかたち」がふさわしいと考えられてきました。
現代の私たちにとっても、指輪を手にしたときの感覚は特別です。
結婚指輪を通じて「これから一緒に歩む」という意思を示す。日常の中で、ふと指輪に触れたとき、視線を落としたとき、その円のかたちが「過去から未来へ続く道」のようにも感じられます。
さらに、手づくりで指輪を作るときには、その円の中に“ふたりだけの物語”を刻むことが可能です。素材を選び、デザインを考え、刻印を入れる。制作の時間そのものが、無言の誓いや感謝を形に変えていきます。
このブログでは、なぜ結婚指輪が円いのか、そしてその円が持つ象徴的な意味や歴史を紐解いていきます。日常で身につける指輪だからこそ、そのかたちに秘められた想いを知ると、さらに愛着がわくはずです。どうぞ、ふたりの指にまとう「輪」が意味するものを、一緒に覗いてみましょう。
2. 結婚指輪の起源と“円”のはじまり

人が指輪を通じて“永遠”や“約束”を表すようになった歴史は、驚くほど古く、また形(輪)に込められた意味も非常に深いものがあります。ここでは、特に「なぜ円なのか」「どこから始まったのか」という観点から、古代エジプトを起点にギリシャ・ローマを通じてヨーロッパに至る流れをたどってみましょう。
古代エジプト:円いリングの始まり
まず、結婚指輪の原点に最も近いとされるのが、紀元前3000年頃の古代エジプト文明です。エジプトでは、麻や葦、リード(葦や芦の類)を編んで輪(リング)を作り、「永遠・終わりなき愛」を象徴するものとして用いた記録があります。
特に「輪(円)」というかたちは「始まりも終わりもない形」であり、この世とあの世、時間の流れを超えたつながりを象徴したと考えられています。
また、資料によれば、当時のエジプトの指輪は革・骨・象牙などさまざまな素材で作られており、それ自体がステータスや儀礼的役割を持っていました。
さらに、エジプトでは “左手の第四指(薬指)” に輪をはめる風習があったと伝えられます。これは「心臓に通じる“愛の血管(vena amoris)”がこの指にある」とする信仰に基づくもので、後の文化にも大きな影響を与えました。
こうした古代エジプトの「輪=永遠・絆・つながり」という発想が、後の結婚指輪の意味づけの基盤になっていきます。
ギリシャ・ローマへ:素材と意味の変化
エジプトで始まったこの輪の慣習は、次第に地中海世界、特にギリシャやローマへと受け継がれていきました。ギリシャでは愛の神・エロスを示す装飾付きリングが見られ、ローマ帝国では儀礼的に「契約の証」としての指輪が使われるようになります。
特にローマ時代には、鉄や銅、青銅などの金属で作られた簡素な指輪が、婚約や契約の場面で用いられました。鉄の指輪は「耐久性・永続性」を象徴し、やがて金や銀へ素材が移ることで“価値”や“愛の確かさ”も表すようになったのです。
この時代から、指輪を結婚・契約の証として“交換する”という形式が定着し、輪というかたちが「あなたと私をつなぐもの」という強い意味を帯びるようになりました。さらにこのプロセスがキリスト教圏でも教会儀礼として採り入れられ、中世ヨーロッパでは結婚式の中での指輪交換が一般化していきます。
円というかたちが持つ象徴性
古代から現代に至るまで、輪(円)というかたちはほぼ普遍的に「終わりがない」「途切れない」「循環する」というイメージを伴ってきました。エジプトでも、ギリシャ・ローマでも、「形そのもの」が意味を持っていたのです。
結婚指輪が円である理由を掘り下げると、例えば以下のような象徴が読み取れます:
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永遠性:始まりも終わりもない形=ふたりの愛も変わらず続く。
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絆・一体性:一つの輪=ふたりがひとつになることを象徴。
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循環・再生:人生のアップダウン、世代を越えた継続の意味。
素材が変わり、デザインが移ろっても、「輪」というかたちは意味を失うことなく、むしろ現代でもその象徴性が輝き続けています。
ヨーロッパから現代へ:形の継承と変化

ヨーロッパでは、中世以降 “フェデリング(握手模様の指輪)” や “ギメルリング(二重または三重リング)” など、複数の輪や手のモチーフが「結び・誓い・絆」を表す装飾として発展しました。
その流れの中で、素材やデザインの自由度が増し、金・銀・プラチナ、ダイヤモンドという今に続く選択肢が生まれました。とはいえ、人が指輪を指にはめるその行為――「輪を身につける」こと――には、古代から変わらない“かたちの意味”が確かに存在しています。
日本においても、西洋文化の影響を受けて明治以降に結婚指輪の習慣が定着しましたが、その際にも「輪」というシンプルながら力強い記号が活かされています。
このように、結婚指輪の「円」というかたちは、単なるデザイン上の選択ではなく、数千年の歴史と文化的意味を背負っていることが見えてきます。そして今、私たちがその指輪を手にする際には、自分たちの「これから」がその輪の中に刻まれているとも言えます。
次の章では、この「円」がさらに深く意味づけられている“結婚指輪の象徴”としての側面を探っていきます。
指輪の「円(まる)」というかたちは、私たちの日常や文化の中にごく自然に溶け込んでいながらも、そこには非常に深く普遍的な意味が込められています。結婚指輪としての「輪」が持つ象徴には、【永遠、調和、循環、完璧】といったキーワードが多く挙げられます。それぞれの言葉が指輪というかたちにどう結びついているか、また世界各地の文化や宗教とも重なる輪のスピリチュアルな意味を通じて、なぜ指輪という形が“ふたりの人生がひとつに繋がる”象徴になったのかを探ってみましょう。
永遠性と無始無終のかたち
「円」には始まりも終わりもありません。中心点から半径を描けば、どこまでも延び、また戻ることなく一周します。西洋・東洋を問わず、この「終わりのない線」が「永遠」「無限」を象徴してきました。円形は変わらぬ愛・変わらぬ誓いを表すにはぴったりのかたちと言えます。
結婚という場面で「永遠」を願うならば、途切れない輪を指に纏うというのは、自然でありながらも強いメッセージ性を持つ選択です。
単独の輪は「ひとつ」「まとまり」「調和」を意味します。結婚指輪が一つの輪であることで、ふたりが一体となるというメッセージをさりげなく伝えているのです。
それは指輪という“輪”を通じて「この先も変わらず続いていく時間」を象徴するわけです。
指輪としての「輪」がふたりの人生をつなぐ理由
指輪は単なる装飾品ではありません。「あなたと私がこれからも続けていく」という約束を日々身につけるための小さな器です。
輪というかたちが持つ意味が、まさにふたりの人生を結びつける土台となるのです。「永遠」「調和」「循環」「完璧」——これらのキーワードを指輪のかたちから読み取れることで、指輪は“二人で作る物語”を視覚化する存在になります。
さらに、手作りの結婚指輪であれば、素材の選定・デザイン・刻印といったプロセスそのものが“物語を刻む時間”となります。完成した指輪が円であればあるほど、その中には“これまで”“これから”という時間と想いが凝縮されるのです。
結婚指輪の「円」というかたちには、古代から受け継がれた深い象徴性が刻まれています。そして、その意味を知った上で指輪を手にすると、単なる“リング”ではなく、“ふたりの人生の証”としての価値がぐっと深まります。次章では、この“輪”がどのように「約束の証」として歴史の中で形を変えてきたかを見ていきましょう。
4. 指輪が「約束の証」になった歴史
指輪がただの装飾品ではなく、ふたりの“約束”や“契約”を象徴するものとして受け継がれてきた歴史は、古代ローマから中世ヨーロッパを経て現代まで、形を変えながらもつながっています。ここでは、指輪が約束の証として定着した過程をたどり、なぜ結婚・婚約の指輪が今日まで残ってきたのかを見ていきましょう。
古代ローマにおける “契約の証”

古代ローマでは、結婚・婚約という儀礼において、金属の指輪が重要な役割を果たすようになりました。ローマの文献によれば、婚約時に鉄または銅などで作られた指輪(「annulus pronubus」などとも)を新婦に贈ることがあったとされています。この習慣は、婚約が単なる恋愛ではなく家と家の契約・社会的な約束でもあった時代背景と深く結びついています。
指輪を贈るという行為は、「この女性はこの男性(あるいはその家族)と結びつきます」という意思表示であり、またその証としての“物”が与えられることに意味がありました。ローマでは特に鉄の指輪が使われ、「耐久性・永続性」を象徴するとともに、社会的な地位や責任を映し出していたと伝えられています。
さらに、ローマ時代には手や指輪に刻印を施す技術も発展し、指輪自身が「契約を記録するもの」「誓いを刻むもの」という役割を帯びていきました。こうした風潮が「指輪=誓約」の図式を築く基盤になっていったのです。
中世ヨーロッパ:教会儀礼と神聖な誓いへ

ローマ帝国がキリスト教を受け入れた後、中世ヨーロッパでは結婚儀式自体が教会の制度の中で位置づけられるようになりました。この背景の中で、指輪の交換が単なる契約の象徴ではなく、神の前で交わされる“約束”としての意味を強めていきます。
教会では、指輪を用いて「この二人は神の前で永遠の誓いを交わします」という儀式を行うようになり、指輪の輪は「神聖な結びつき」「無始無終の一致」という象徴を帯びるに至りました。金や銀などの貴金属で作る指輪が増えたのも、この時代の特徴です。
また、この時期には “フェデリング(fede ring)” と呼ばれる、両手を握りあうデザインの指輪が婚約や結婚の印として用いられました。こうした意匠は、握手=信頼、両手の輪=つながり、というイメージを反映しており、「指輪という輪」が持つ象徴性をさらに深める役割を果たしました。
左手薬指に着けるようになった背景――「愛の血管(vena amoris)」説

指輪をどの指にはめるかという習慣も、長い歴史を通じて変化してきました。西洋文化で「左手の第四指(薬指)に結婚指輪/婚約指輪をはめる」ことが一般的になった背景の一つとして、古代の「vena amoris(愛の血管)」説があります。これは「左手の薬指には心臓から直接つながる血管があり、そこに指輪をはめることで“心と心の結びつき”を示す」という伝承です。
実際の医学的根拠はないものの、このロマンティックなイメージは中世以降の結婚儀式や指輪交換儀礼に大きな影響を与え、今日に至るまで「左手薬指=愛を誓う指」という観念が根づいています。さらに、西洋教会においては、結婚式で右手から左手に指輪を移す風習も見られ、これは「儀式を通じて正式に結びつく」という意味合いを持っていました。
約束の証としての指輪の進化

このように、指輪は古代ローマの契約の印から、教会儀礼における神聖な誓いのシンボルへと移行してきました。中世以降、結婚式という場面において指輪の交換が定着し、「ふたりがお互いに誓い、社会や神の前でその誓いを刻む」という構図が確立しました。
また時代が進むにつれ、素材や装飾が豊かになり、デザインが個別化されていく中でも「指輪=誓い」「輪=変わらぬ約束」という意味は揺らぐことなく残ってきました。指輪そのものが「あなたと私の間に交わされた言葉なき誓い」という機能を果たすようになったのです。
そして今日、結婚指輪や婚約指輪をはめるという習慣は世界の多くの文化圏で標準となっており、その背景には長い歴史と文化的意味の蓄積があるのです。
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5. 現代に受け継がれる“円”の意味
古代から「円=終わりがない」「つながり・絆」「循環」を象徴してきた形は、現代の結婚指輪や婚約指輪でもその意味を十分に受け継いでいます。ここでは、現代のデザインや手作り体験、そして“自分たちの手で形にする”という視点から、「なぜどんな時代になっても『輪』が選ばれるのか」を見ていきましょう。
「永遠の絆」「変わらぬ愛」の象徴としての定着
現代においても、結婚指輪・婚約指輪を「終わりのない輪」として選ぶ理由は変わりません。例えば、円周が途切れないというかたちが「始まりも終わりもない愛」「ふたりの関係が変わらず続いていく」というメッセージを静かに伝えています。ジュエリー関連の解説では、エタニティリング(永遠を意味するリング)は「途切れることのないダイヤモンドの帯が、まさに“永遠”を象徴する」と紹介されています。
つまり、どれだけ時代が変わっても、「ふたりで交わした誓い」「変わらぬ想い」という意味を指輪の輪というかたちで可視化するというスタイルは、現代でも普遍的な価値として選ばれ続けているのです。
デザインの多様化でも“円”の意味は変わらない
技術やファッションの進化とともに、指輪のデザインはさまざまに進化しました。例えば、『槌目(ハンマーで叩いたような質感)』『コンビ(異なる金属を組み合わせたデザイン)』『ねじり(リング全体がらせん状にねじれているデザイン)』など、形や質感に個性を持たせるスタイルが増えています。
しかしながら、どんなにデザインが変わっても「輪=円」というかたちは変わりません。印象的な質感や金属の組み合わせで個性を出しつつも、「これからも途切れずにつながる」という象徴性を保っているのです。例えば、異素材コンビであっても「2つの金属がひとつのリングとして融合」している場合、それ自体が「ふたりが異なる存在でありながらひとつになる」という意味を表しています。
また、ねじりデザインでも「通常の丸い輪に動きと個性を加えた」だけであり、基本的な“輪”という形が担う象徴性が崩れてはいません。つまり、デザインが多様になることでむしろ“円”の意味が多層的に表現されていると言えます。
手作り指輪なら、より深い意味を“自分たちの手で形にできる”
現代において注目されているのが「手作り指輪体験」です。既製品を購入するのではなく、ふたりで指輪を制作するワークショップ型のスタイルが人気を集めています。ここには、次のようなメリットがあります:
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制作過程そのものが思い出になる。
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素材選び・デザイン・刻印などに二人の想いを込められる。
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完成品を自分たちの手で作ったというストーリーを持てる。
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指輪を見るたびに「この日、この時間、この場所で作った」という記憶がよみがえる。
このように、手作りという形を取ることで、単に「輪を身につける」だけでなく「輪を自分たちでつくる」という行為そのものが意味を持つようになります。円というかたちが「変わらない愛・つながり」を表してきた歴史を持つからこそ、「自らの手でそのかたちをつくる」という行為には、より一層“象徴性”が加わるのです。
さらに、制作時に素材を選ぶ段階、加工を決める段階、刻印や石留めを施す段階それぞれで「ふたりで話し合った」「ふたりの想いを指輪に込めた」経験が重なっていきます。その過程において「この輪には私たちの時間が刻まれている」という感覚を持てるのは、既製品にはない特別な価値です。
現代のライフスタイルと“輪”の意味の融合
加えて、現代のライフスタイルにおいては「長く使える」「飽きない」「意味を持たせたい」という意識が高まっており、指輪の選び方にもその傾向が現れています。
たとえば、忙しい仕事の合間でも毎日身につけるリングを“ただのアクセサリー”ではなく“象徴”として選びたいという意識や、SNSで共有される“物語性のある体験”を求める傾向もあります。手作り指輪というスタイルは、ちょうどその流れに合致しており、「作る時間」「デザインを選ぶ時間」「完成した指輪を身につける時間」が、ライフスタイルの一部として記憶に残る体験になります。
また、素材やデザインにこだわる現代カップルの多様性に応えて、ミニマルでシンプルな結婚指輪からモダンなデザインまで幅広く展開されており、どんな好みやライフスタイルであっても、自分たちらしい“輪”を見つけられる時代になっています。
このように、現代においても「輪(円)」が持つ象徴的な意味はしっかりと機能しています。そして、デザインの自由度や制作体験の広がりによって、その意味はさらに豊かになっています。ふたりでつくる指輪という選択肢は、単に「リングを買う」ということではなく、「ふたりの物語をかたちにする」という新しい価値を提案してくれます。次の章では、これまでの内容をふり返りながら「ふたりの“輪”をつなぐ指輪」という結びに入ります。
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6.まとめ:ふたりの“輪”をつなぐ指輪
指輪は、ただの金属の輪ではありません。そこには「ふたりがともに歩む」という決意、「変わらない絆」を形にしたシンボルとしての重みがあります。前章までで見てきたように、円(輪)のかたちは「永遠」「調和」「循環」「完璧」を象徴し、古代から現代まで多くの文化で愛と約束の象徴として受け継がれてきました。
ここでは、これらを踏まえながら、「指輪の円」が持つもう一つの側面──“始まりと終わりを共にする”という意味──にも触れつつ、ふたりの“輪”をどのように育てていくかを見ていきましょう。
指輪の円は「永遠」だけではない──“始まりと終わりを共にする”
「円=終わりがない」という表現は、結婚指輪を選ぶうえで非常に大きな意味を持っています。途切れない線が「永遠」を示すというのは多くの資料でも共通して紹介されています。
一方で、結婚というのは“ふたりの人生の始まり”でもあります。出会い、交際、誓い、そしてこれからの日々──そのすべてが「始まり」の連続です。そして、人生には終わりもまたあるからこそ、「終わりを共にする」という覚悟も、円が表す意味の一部となります。指輪をはめたその日、その瞬間が“スタートライン”であり、同時にその輪の中に未来も終わりも含まれているとも言えます。
つまり、指輪の円には「今この瞬間からずっと」という時間軸だけでなく、「出発点から将来への旅」「喜びも困難も含めて共に歩む」というふたりの意志が、無言の形で込められているのです。
形そのものがメッセージになる唯一のジュエリー
他のアクセサリーと異なり、結婚指輪・婚約指輪は「選び、交わし、身に付ける」というプロセス自体が儀式的です。そして、選んだ“輪”というかたちは、携える者にとって「何を選んだか」よりも「何を誓ったか」を物語ります。
例えば、同じデザインでも「ふたりで手作りした」「素材や刻印にこだわった」「きっとこの先も使い続けるために選んだ」といった背景があると、その指輪はただの装飾品ではなく“ふたりの物語”そのものになります。
「輪」が持つ普遍的な意味(永遠・絆・循環)を知ることで、指輪を見た瞬間にそのメッセージ性が胸に響き、自分たちの刻みたい物語を形にしてくれます。そして、それは“唯一のジュエリー”となるのです。
世界でひとつの“自分たちの輪”を育てていく楽しさ
手作り指輪やオーダーメイドの指輪が人気を集めている背景には、「既製品にはない物語性」「自分たちの手で作ったという実感」があります。指輪を作る過程で、素材やデザイン、刻印までふたりで決める時間は、それ自体が思い出となります。
完成した指輪を日常で身に付けるたびに、「この日にこの場所でこの会話をしながら作った」という記憶がよみがえります。指輪が“輪”というかたちなら、そこには“時間”や“想い”もまた輪を描いて閉じ込められているのです。
そして年月を重ねるごとに、傷や変化もふたりの歴史の一部になります。輪の中に“ふたりで歩んだ時間”が刻まれ、それは新品同様の光沢以上に価値を増していきます。自分たちの“輪”を育てるということは、未来の姿も想像しながら今を選び、そしてその輪を大切に使い続けるということでもあります。
最後に
指輪という小さな輪が肩に担う役割は大きく、そして深いです。時代を超えて、「輪=永遠・絆・つながり」という意味が変わらず受け継がれてきたからこそ、今日も多くのカップルが指輪を交わします。
しかし、その意味を知ったうえで「自分たちらしさ」を込めることで、さらにその価値は高まります。素材やデザインを選ぶとき、刻印や石留めを考えるとき、手作りにトライするならその体験そのものを楽しむとき──すべてが“ふたりの輪”を育てる時間です。
指輪の輪は、ただ「終わらないもの」を示すだけでなく、「始まりから終わりまでをともに」という伏線を含んでいます。そしてその輪を選び、身に付ける行為は、ふたりの人生に寄り添う「証」になります。
これから指輪を選ばれる方にとって、形だけではなく「意味」に目を向けることが、長く愛せる指輪を見つける鍵となるでしょう。どうぞ、あなたと大切な人の“輪”が輝き続けますように。
ご自身で作る永遠の象徴、もしご興味がわきましたらお気軽にご連絡ください。












