「職人が教える!手作り指輪の制作工程とその魅力」

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結婚指輪や婚約指輪、ペアリングが欲しいな。と思った時に

【ご自身で作る】

そのような選択肢が最近ではとても一般的になったと思います。

だけど指輪の作り方はいくつか種類があり、それによってできるデザイン等も変わります。

代表的なものですと金属を直接曲げて溶接して指輪にする「鍛造製法」

ワックスと呼ばれるもので指輪の原型を作りそこから型を作り溶けた金属を流し込む「鋳造製法」

この二つがあります。

全然違う作り方なのでそれぞれ楽しみがあります。

今回は上記の二つの作り方やそれぞれのメリット等をご紹介いたします!

職人の手で生まれる「鍛造製法」の世界

~一打ごとに宿る想いと、手作りならではの魅力~08

手作り結婚指輪、手作りペアリング体験と一口に言っても、その中身には深い世界があります。その中でも「鍛造(たんぞう)製法」は、まさに“手作りの真骨頂”。金属を叩いて叩いて、少しずつ形を整えていく鍛造製法は、機械では表現できないぬくもりや、手仕事ならではの味わいが結婚指輪、ペアリングに宿るのが最大の魅力です。

今回は、そんな鍛造製法とは一体どんなものなのか、実際の工程や、その魅力について、職人目線で丁寧に解説していきたいと思います。


鍛造製法とは?

まず「鍛造」という言葉自体、聞き慣れない人も多いかもしれません。鍛造とは「鍛えて造る」と書く通り、金属を叩いて形を整える加工技法です。古くは刀鍛冶や大工道具など、強度が求められるものを作るときに使われてきた、非常に歴史ある技術なんです。

結婚指輪やペアリングづくりにおいては、主にシルバーやゴールド、プラチナなどの金属の棒(地金)を、加熱・冷却しながら何度も叩き、少しずつ理想の形へと近づけていきます。

鍛造製法の特徴は、次の3点に集約されます。

  1. 強度が高く、変形しにくい

  2. ガスバーナーや金槌などを使うので作った感をより感じられる

  3. “一打ち”に職人の想いが込められる


鍛造製法の工程をのぞいてみよう

では、実際の手作り結婚指輪・手作りペアリングの体験での鍛造製法の工程を、順を追ってご紹介します。

① 地金選びからスタート!素材

まずは素材を選びます。初心者の方には加工しやすく、美しい仕上がりになるシルバーが人気ですが、特別な記念日や結婚指輪、婚約指輪にはK18(18金)などのゴールド系やプラチナ素材もお選びいただけます。

ここで選んだ素材が、まさに“あなただけの指輪”になる第一歩です。

② 長さを測って、地金をカット2

指のサイズに合わせて、必要な長さの地金棒をカットします。経験豊富な職人がサポートしながら行うので、初めてでも安心。ペアリングや結婚指輪を作る場合は、お互いのリングを作りあうことでペア感を意識した体験ができますね。

③ 輪っかの形にヤットコで曲げていく

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金属の棒を用意したので端と端をくっつけて丸くしていきます。

ここはしっかりくっついていないとうまく溶接ができなかったり、溶接ができても強度が弱くなってしまうことがあります。

なのでこの作業はかなりシビアに行います。

一番難しい作業といっても過言ではありません。

④ つなぎ目をロウ付け(ろうづけ)

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棒の状態から制作しているため、指輪のような円の形を作るにはまずは端の断面同士をつなぎ合わせる必要があります。
焼きなましの作業で柔らかくした材料をヤットコという道具を使い、断面同士を隙間なく近づけておきます。

そうして近づけた断面の合わせ目、ここにロウ材という金属を使って高温のバーナーで溶接します。

「え、溶接って難しそう…」と思うかもしれませんが、道具の持ち方から火の当て方まで丁寧に教えてもらえるので安心です。火を使う工程には緊張感がありますが、それだけに完成したときの達成感は格別。

⑤ ハンマーでトントン、リングの形へ

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さあ、いよいよ鍛造のメイン工程。溶接が完了した金属を、**芯金(しんがね)**と呼ばれる円柱状の道具にあてながら、ハンマーで少しずつ叩いて曲げていきます。

この工程では力加減とリズムが重要で、叩きすぎれば金属がのびすぎてしまうし、足りなければ正確な円になりません。ここは職人が一緒にサポートするので、どんな方でもしっかり形になります。

**トントン……カンカン……**と響く音もまた、心地よいBGMのように感じられ、どんどん愛着がわいてくる瞬間です。

⑥ ヤスリで表面を整える

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次はヤスリで表面を丁寧に削っていきます。溶接したつなぎ目も、ヤスリがけで滑らかになり、まるで1本のリングのように美しく仕上がります。

このときに自分の好みに合わせて**マット仕上げ(つや消し)**にするか、ピカピカの鏡面仕上げにするかを選べます。

⑦ 刻印&仕上げブログ用3

最後に、リングの内側や外側に刻印を入れます。日付や名前、イニシャルなどの入れたい内容を打ち込めば、まさに“世界にひとつだけの結婚指輪、ペアリング”が完成します!


鍛造製法の魅力とは?

指輪作りには鋳造(ちゅうぞう)など他の製法もありますが、鍛造製法ならではの魅力をいくつか挙げておきましょう。

◎ 丈夫で長持ち

金属を叩くことで内部の密度が高くなり、強度が増します。そのため、長く使っても変形しにくく、日常使いにぴったり。結婚指輪や記念リングとしても人気です。

◎ 手仕事の温もりが宿る

機械で大量生産される指輪とは異なり、一打一打が手作業。その「人の手」が生み出す微妙なラインや風合いこそが、唯一無二の魅力になります。

◎ 自分の手で作る喜び

「自分で叩いて形にした」という体験は、モノへの愛着を生みます。カップルやご夫婦で作れば、相手が一生懸命に作業している姿を見るだけで感動モノ。完成したリングをはめた瞬間は、忘れられない思い出になります。


鍛造製法で、あなただけの物語をimg_visual

鍛造製法は、まさに“ものづくりの原点”。金属という硬くて冷たい素材が、人の手によって徐々に形になっていく様子は、何度体験しても心が動きます。

初心者でもご安心ください。職人のサポートのもと、自分の手で金属を叩いて作る時間は、忙しい日常を忘れさせてくれる贅沢なひとときです。

「世界にひとつだけの指輪が欲しい」
「思い出に残るデートや記念日を過ごしたい」
「子どもと一緒に体験してみたい」

そんなあなたには、鍛造製法による手作り指輪体験を心からおすすめします。


自由なデザインが可能に!「鋳造製法」の魅力mariwax020

~溶かして、流して、形づくる。あなたの想像がそのままカタチに~

次は「鋳造(鋳造)製法」です。「鍛造製法」は、金属を叩いて形を整える、まさに“職人の手技”が光る技法でした。一方、今回ご紹介する「鋳造製法」は、自由なデザインを実現できるのが大きな特徴です。

鋳造は、金属を一度溶かして型に流し込んで固めるという手法。機械で大量生産されるアクセサリーでもよく使われる技術ですが、手作り指輪体験でもこの鋳造の技術を使うことで、オリジナリティのある複雑なデザインや立体感のある形も再現できます。

では、そんな鋳造製法の基本から、実際の工程、そしてその魅力について、じっくりご紹介します。


鋳造製法とは?IMG_0081

「鋳造」は、簡単に言えば型に金属を流し込んで成形する方法です。
英語でいうと「casting(キャスティング)」。ジュエリー業界ではとてもポピュラーな技法で、繊細で立体的なデザインに仕上げるのに向いています。

指輪作りにおける鋳造製法は、まずワックス(ロウ)で原型を作るところから始まります。この原型を元に石膏で型を作り、その型に溶かした金属を流し込んで冷やし、形を作ります。


鋳造製法の工程をじっくり解説!

それでは、鋳造製法による手作り結婚指輪、ペアリング作り体験がどんな流れで進むのか、順番に見ていきましょう。

① ワックス原型作り(WAXモデリング)

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鋳造の最大の特徴はここ
まずは「WAX(ワックス)」と呼ばれる柔らかいロウ素材を使って、指輪の原型を手で作っていきます。ワックスは彫ったり削ったりしやすく、粘土細工のような感覚で自由なデザインが可能です。

たとえば……

  • 波打つような流線型のデザイン

  • 一部分にボリュームを持たせて立体的に表現

  • 表面に凹凸や立体的なテクスチャを加える

といった、鍛造では表現しにくい細かい装飾も、WAXなら手軽に形にできます。

② 型取り(石膏埋没)

ワックス原型ができたら、それを専用の型枠にセットし、石膏を流して固めます。このときできる石膏型が、最終的に金属を流し込む「鋳型(いがた)」になります。

石膏が固まった後は、高温で焼成してワックスを溶かし出すことで、中が空洞になり、金属を流し込む準備が整います。これを「ロストワックス法」と呼び、鋳造技法の王道です。

※体験コースでは、この部分は安全のため、お客様のワックス原型をお預かりし職人が担当いたします。

③ 金属を溶かす「溶解」

次は金属を高温のバーナーや炉で溶かしていきます。シルバーなら約900〜1,000℃、ゴールドなら1,000℃以上の温度が必要で、まさに職人の腕の見せどころ。

溶けた金属はドロドロの液体になり、準備した鋳型へと一気に流し込みます。
この瞬間の緊張感は格別で、「ものづくりってすごい!」と感じるハイライトのひとつです。

※体験コースでは、この部分は安全のため、お客様のワックス原型をお預かりし職人が担当いたします。

④ 鋳型を壊して取り出す

金属が鋳型の中で冷えて固まったら、石膏を壊して中のリングを取り出します。焼かれた石膏はもろくなっているので、ハンマーなどでパカっと割って中から取り出します。

ここで現れるのは、まだバリ(余分な部分)や酸化膜がついた“荒削りの指輪”。でも、これがまた「これから磨いて仕上げていくぞ!」というワクワク感につながります。

※体験コースでは、この部分は安全のため、お客様のワックス原型をお預かりし職人が担当いたします。

⑤ ヤスリがけ・磨き・仕上げmariwax011

取り出した指輪を、やすりで削ったり、磨いたりして、つややかな表面に仕上げていきます。

ここでは、表面を綺麗に磨き上げて鏡のように反射する輝きを出す「鏡面仕上げ」
落ち着きのある質感の「マット加工」にするか、など自分好みの仕上げ方法が選べるのも楽しいポイント。

刻印や石留めなどのオプションを加えることで、さらに特別感のある一点モノが完成します。


鋳造製法のメリットと魅力mariwax031

鋳造製法には、以下のような大きな魅力があります。

◎ 複雑なデザインが可能!

鍛造では難しい曲線や立体的なモチーフも、WAXを使えば柔軟に表現できます。
「ちょっと個性的なデザインが好き」
「自分だけのこだわりを詰め込みたい」
そんな方にはまさにぴったり!

◎ “自分らしさ”を形にできる

たとえば子どもの描いたイラストを模したモチーフ、手書きの文字、植物や動物のかたちなど、自由なアイデアを指輪に落とし込めるのが鋳造の魅力です。

世界で一つだけの形状は、ギフトや記念品としても喜ばれること間違いなしですね!

◎ 初めてでも楽しく体験できる

WAX原型作りは削ったり、こすったり、時には指でなじませたりと、感覚的で直感的な作業が多いので、彫金初心者でも意外と楽しく没頭できます。

まるで「大人の図工の時間」のような感覚で、ふだん手を動かすことが少ない人ほどハマりがち。


鋳造体験が向いている人はこんな人!

  • 手描きのデザインやキャラクターを指輪にしたい人

  • 世界にひとつだけの形にこだわりたい人

  • 曲線的でアーティスティックなデザインを作りたい人

  • お子さんや家族と“作品づくり”のように楽しみたい人


まとめ:アイデアをカタチにできる魔法、それが鋳造mariwax028

鍛造が「技と手間で形にする手仕事」ならば、
鋳造はまさに「想像力をそのまま形にできる魔法」。

自由度の高さ、細かい表現力、完成度の高さ――
鋳造製法には、デザインにこだわりたいあなたの願いをかなえる力があります。

記念日や特別なプレゼント、自分だけのアイテムとして、あなただけの“芸術作品”を作ってみませんか?



職人の魂が宿る伝統技法と、手作り指輪の奥深さIMG_7463-2

~受け継がれる“手の技”と、世界にひとつのリングが生まれるまで~

ここまで、鍛造製法と鋳造製法という、2つの代表的な指輪制作の方法を紹介してきました。どちらにも魅力があり、それぞれにしか表現できない美しさがあります。

そしてここからは、もう一歩踏み込んで、彫金(ちょうきん)と呼ばれる伝統的な技術について触れながら、手作り指輪の持つ魅力、そしてなぜ多くの人が「自分の手で作る」という手作りの体験に惹かれるのかを、まとめとして語っていきます。


彫金とは? 日本の伝統に根ざした手仕事の世界img_about1

「彫金」とは、金属に彫りを入れたり、模様をつけたり、加工して装飾を施す技術のこと。
日本では古来から刀装具や簪(かんざし)、帯留めなどを装飾するための技として発展してきました。

もちろん日本以外にも金属工芸の歴史は古くからあります。

彫金の世界には、何十年と鍛錬を重ねてきた職人が、極限まで緻密な細工を施す伝統技法が息づいています。

代表的な彫金技法の一部を紹介すると……

  • 手彫り:鉄製の彫刻刀のような工具「鏨」を使って、金属の表面に模様を彫る技法。浮き彫り、沈み彫り、毛彫りなどがある。mari307

  • ミルグレイン:ヨーロッパの伝統技法でラテン語で「千の粒」といいます。その名の通りとても細かい粒を指輪にあしらう技法です。mari277

こうした技術が、現代の手作り結婚指輪・手作りペアリング体験でも使われています。体験コースでは簡易的な技法になるものの、伝統的な彫金の“エッセンス”に触れることができます。


「自分で作る」ことの価値

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彫金技術を学ぶには長い年月が必要ですが、その精神や“ものづくりの原点”に触れられるのが手作り結婚指輪・ペアリング体験の魅力です。

自分の手で専門の道具を使い、叩いて形を整える緊張感と新しいことに挑戦する喜び。
表面を丁寧に磨くうちに指輪に宿っていく自分らしさや愛着、込める想いなど。

そうしたひとつひとつの繊細な工程が、
「世界に一つの、自分だけの手作り指輪」として完成していくその過程は、
既製品では決して得られない味わい深い感動があります。


手作り指輪は、未来に残せる「物語」でもある手描き印字

手作りの指輪は単なるアクセサリーではなく、**その時々の記憶や感情を封じ込めた「物語」**でもあります。

  • 初めて2人で作ったペアリング

  • 子どもの絵を刻んだ、お母さんの記念リング

  • 両親への感謝を込めたプレゼントリング

それぞれのストーリーが、金属という永続性のある素材に刻み込まれていく。年月を経ても風化しない、むしろ味わいが増していく。

そしてそれがまた、次の世代へと受け継がれていく。
まさに、“家族の宝物”になる指輪を、自分の手で作れるというのは、とても価値のある体験です。


手仕事の美しさに触れる体験を、あなたにも。top画像2

このブログでは、「鍛造製法」「鋳造製法」そして「彫金の伝統技術」や「手作りの意義」
について紹介してきました。

どの製法にも共通して言えるのは、
「人の手でしか作れない、温かみや想い」が込められているということです。

大量生産にはない、歪みや揺らぎこそが美しい。
誰かのために作ったその時間も、指輪の一部として刻まれている。

あなたも一度、金属と向き合いながら、じっくりと“自分の手”で作品を仕上げる時間を過ごしてみませんか?

完成した指輪はもちろんのこと、それを作った時間や気持ちも、きっと一生の宝物になるはずです。

もし手作り体験にご興味を持っていただけましたら

お気軽にご連絡ください

ついぶ東京工房
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TEL: 03-3407-7397
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2025年06月21日 カテゴリー: